3月 13

面白ピアノ曲解説16.テトラコードに支配されたソナタ~ベートーヴェン

Beethoven Piano Sonate No.7  Op.10-3 1st mov. 

ベートーヴェン ピアノソナタ 第7番 作品10の3 第一楽章

~「テトラコードに支配されたソナタ」の巻~

突然ですが、みなさん「テトラ」って言葉ご存知ですか?テトラポッドって聞いた事有りますよね。

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←こういうのです。

テトラというのはギリシャ語で「4」を意味する接頭辞だそうです。つまり日本語言うと4つの・・・という感じですね。

 

 

さて、今回のお題は「テトラ+コード」です。コードとは和音という意味なので、つまり「4の和音」→「4度の和音」となります。(少し苦しいけど・・・)

実際には、古代ギリシャでは2つの音の音程(幅)が4つ離れた和音をテトラコードと呼んでいたそうです。その中のダイアトニックがこのソナタに出現する「レ・ド#・シ・ラ」という冒頭の音列の元になっているようです。

すこし堅い話になってしまいました。このテトラコードによって作られた音列が7番のソナタ1楽章ではしつこいほど出てきます。更にややこし事に、テトラコードで書かれたテーマが4回繰り返す事が良くあります。まさにテトラだらけ??

聞いていると、同じメロディが何度も繰り返され、しかも徐々にエスカレーションしていく感じです。それがこの曲のはつらつさにつながっています。オクターブもよく出て来るのでエネルギッシュなイメージも有ります。若々しくはつらつとしたベートーヴェンの青年時代を彷彿とさせるような曲です。

 

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2013年3月13日記

3月 12

面白ピアノ曲解説15.夏の海を連想させる舟歌~ショパン

Chopin Barcarolle Op.60 /  ショパン 舟歌  作品60

「夏の海を連想させる舟歌」の巻

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ショパンの舟歌はいわゆる玄人好みな作品です。ショパン円熟期の作品であり、演奏するのは技術的にではなく、音楽を表現するという部分においてかなり難しい曲とされています。「人生経験を積まないとあの曲は弾けない」等々とも言われています。しかし、曲の持つ雰囲気は若々しいと私は思います。

穏やかだけど明るい雰囲気は聞いていて気持ち良いです。何となくわくわくしてきます。とにかく美しい舟歌です。つまり波に揺られてる感じがします。季節は絶対夏。しかもまだギラギラ暑くない初夏を思い浮かべます。途中何となく雰囲気が怪しげ?になりますが、そのあと、穏やかで幸せな気分に浸れます。

作曲当時、ショパンは健康にすぐれなかったはずですが、この曲からはそういう不健康な感じや。悩ましい感じはしません。

 

2013年3月11日記

 

3月 05

面白ピアノ曲解説14.晩秋の森に吹く風~シベリウス/樅(もみ)の木

樅(もみ)の木~晩秋の森に吹く風

Sibelius – Granen, The Spruce op.75-5

樅(もみ)の木は、Wikipediaによると、樅、学名Abies firma)は、マツ科モミ属常緑針葉樹だそうです。有名なクリスマスキャロル『もみの木』(ドイツ語原題: O Tannenbaum; おお、モミ(Tannen)の木よ)からもうかがわれるとおり、ヨーロッパでは伝統的にヨーロッパモミが使われてきた様です。

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樅の木は、シベリウス「樹の組曲」の中に収録されています。樅の木は、北欧では永遠の命の象徴だそうです。魂は樅の木から生まれ、そして樅の木へと戻る。つまり、永遠の生と死の象徴と考えられているようです。
 
 
まず、何処からともなく吹いてくる風で曲は始まります。季節は晩秋?。
そして、古く、ずっと昔からその地に静かに立つ樅の木のお話し(メロディ)が聞こえてきます。樅の木には過去からのさまざまな記憶がある。少しだけそんな樅の木の心が伝わってきます。
そして、樅の木の周りに更に強い風が吹き始めます。その風の中には人のさまざまな感情、喜怒哀楽が渦巻いている気がします。
樅の木は、孤高で、その葛藤を超越していて、「どんな時でも、私はあなたを見守っているよ!!」という人へのメッセージが含まれていると私は思います。
 
2011年 2月 28日記
3月 05

面白ピアノ曲解説13.鳥の鳴き声が3D感覚で聴こえてくる名作~ラヴェル/悲しき鳥たち

悲しき鳥たち~鳥の鳴き声が3D感覚で聴こえてくる名作

M.Ravel – Miroirs / Oiseau tristes

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悲しき鳥たちはモーリス・ラヴェルの傑作「鏡」の第二曲です。
私には、鳥の鳴き声が遠近感を持って聞こえてきます。まさに3D感覚に?
 
この曲は深い森がイメージできます。その中で鳥が鳴いています。
森は風が止まっていて緊張した瞬間、ゆったりと空気が流れ感じられる瞬間があったりします。
(風が止まったり、その動きが感じられないくらいゆっくり動いている・吹いている感じ?)
 
私は風の動きの中に様々な情景とその情景に何かの感情を感じます
 その中で鳥は、一羽で・複数で鳴いています。遠くで鳴いている…と思ったら近づいてきて目の前で「けたたましく」鳴きます。鳥が近づいてくる・遠のくという遠近感が見事に表現されています。その鳴き声が森にこだまする様も描かれています。
その様子は今風にいえば3D感覚? 
ところで、鳥は「悲しく」鳴いているのでしょうか?
悲しく感じるのはもしかすると人間の勝手な感じ方かも知れません。
鳥には何の感情もないはずです。その鳴き声を「悲しく」聴かせる!!
そこにRavelの「策略」とピアノ1台で作り出せる作曲技法の見事さを感じずにはいられません。

 2010年11月15日記

3月 05

面白ピアノ曲解説12.「家具の音楽」の巻~サティ・ジムノペディ1番

ピアノ曲解説12.「家具の音楽」の巻

Satie,Erik / Gymnop?dies 1
エリック・サティー / 3つのジムノペディより第1番img_901508_18380073_0
エリック・サティは、フランス近代作曲家です。当時パリで有名なキャバレー「黒猫」でピアニスト兼音楽全般のディレクターの様な仕事をしていた人です。
サティは自分の作品を「家具の音楽」と考えていました。
やはり彼の普段の仕事からひらめきがあったとも考えられますね。
(まさにそのまま、家具の音楽という作品もありますj)
今では当たり前ともいえるBGMとしての音楽の可能性を予言していた作曲家とも言えます。
 
ジムノペディ1番はメロディが美しく印象に残ります。
メロディはいつも同じ長さで同じ雰囲気を醸し出しています。
その繰り返しに落ちつき感が感じられます。
これはミニマムミュージックという同じ形を何度も繰り返す音楽スタイルでもあります。
だから、途中から聴いても違和感がなく、エンドレスに続けても違和感がない!!
BGMとして最高の構成です。
 
私は、和音の響きサティ独特の透明感と落ち着きを感じます。
この響きに浸って感じるトリップ感もなかなか良いです。
 
2010年08月28日記
3月 05

面白ピアノ曲解説11.「昼から夜へ移り変わる魔法の時」の巻

R. Shumann /Des Abends 
ロベルト・シューマン / 幻想小曲集作品12より 「夕べに」
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薄暮・・・慌しく時間が過ぎる一日、時が昼から夜へと移り変わろうとするほんのひと時、何故か時間がゆっくり動いている感じがしませんか?
魔法の時間とで言いましょうか…
「夕べに」は、その魔法の時間が感じられる不思議な曲です。
「夕べに」は幻想小曲集の第一曲ですが、幻想小曲集はシューマンが後に妻となるクララとの結婚を熱望していたにも関わらず、シューマンの恩師でもあったクララの父から反対されて悩んでいたころの作品です。
夢・空想・幻想、そして現実が交錯していた頃。
そんな若きシューマンだからこそ発想が湧き作曲できたのではないか?と思います。
一般には、同じ曲集の中の「飛翔」や「夜に」の方が注目されがちですが、「夕べに」も傑作です。
2拍子でありながら3拍子を感じられ不思議な曲です。その複雑に絡み合うリズム感が、幻想的なイメージを醸し出しています。シューマンしか書けないような全く別な世界へふっとワープしてしまうような瞬間(転調)が見事です。

私は、眼をつぶって聴いていると夕暮れの風景が浮かんできます。

 

 2010年08月12日記

3月 05

面白ピアノ曲解説10.「ベートーベンが恋人に捧げたソナタ」の巻

ベートーベン / ピアノソナタ24番テレーゼ

Beethoven / Piano Sonate No.24 Op.78

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「ベートーベンが恋人に捧げたソナタ」の巻

写真はベートーベン永遠の恋人とも言われているテレーゼ(テレーゼ・フォン・ブルンスヴィック)さんです。
ベートーベンの死後恋文が発見され、その宛先が誰か?数多くの研究者が研究していられます。つまりその宛先こそベートーベン永遠の恋人だろう!と言う訳です。
テレーゼさんはその最有力候補らしいです。

また、あの有名な「エリーゼの為に」のエリーゼは実はテレーゼだったという説もあります。実名では刺激的だから少し名前を替えた?

ピアノソナタ24番はテレーゼさんに捧げられており、少なくてもその時ベートーベンとテレーゼさんは仲が良かったと思います。
曲は壮大な作品が目白押しな中期のベートーベンにしてはコンパクトな2楽章構成です。

特に1楽章が優しくかわいい感じでテレーゼさんの人柄とそのテレーゼさんを見ていたベートーベンの気持ちが感じられます。
最初はゆったりしたオルガンの様な響きから始まります。
そのあとから聞こえて来るメロディー(第一テーマ)も嬰ヘ長調のイメージも加わり優雅でしかも爽やかでもあります。
その後違うメロディー(第二テーマ)も聞こえて来ますが、イメージは代わりません。
チャーミングな曲です。
 
2010年07月27日記
3月 05

面白ピアノ曲解説9.「2台ピアノでロックンロール」の巻

 Richard Rodney Bennett / Tempo Di Hard Rock

リチャード・ロドニー・ベネット/ハードロック

(2台のピアノのためのでディベルティメントより第4曲)

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ベネットさんは、1936年イギリス生まれの作曲家です。現在も作曲家として活躍中。映画音楽もかなりたくさん手がけていて、代表作は「オリエント急行殺人事件」などなど。

そのベネットさんが少しユーモアがあるロックンロールの作品を作曲しています。クラシックスタイルで、ロックンロールというのはかなりユニークだと思います。

始めからロックのリズムバリバリです。途中少しアドリブっぽいところもあります。

2人(2台)の動きが一見別々の動きなんだけど実はしっかり構成も考えられています。
聴いていてわくわくする曲です。
2010年07月22日記
3月 05

面白ピアノ曲解説 8. 「暑くても爽やかなブラジル音楽」の巻 ミヨ ー/スカラムーシュ

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ミヨー/スカラムーシュより第3楽章 ブラジレイラ(ブラジルの女)
Milhaud/ Scaramouche Brazileira

今回はフランス人の眼に映った?ブラジル音楽です。作曲者ダリウス・ミヨーは1892年生まれ。フランス6人組と言われた当時新進気鋭の作曲家です。外交官の仕事でブラジルに滞在していた時のイメージで書かれたと思われます。

スカラムーシュは元はピアノとサックスの為の作品ですが、ミヨー本人が2台ピアノの為に改編しました。3楽章のブラジレイラは全編サンバなどの、ラテンのリズムに溢れています。暑くてジメジメ(…これって日本風?)ではなく、暑いけど湿度低く、でも太陽はギラギラの夏のイメージです。暑いけど爽やか!海でちょっとオシャレに過ごすって感じです。

ミヨーさんは、病気でずっと車椅子生活だったらしいです。ブラジレイラの様な陽気な女性に憧れを持っていたのでしょうか…

2010年7月2日記

3月 05

面白ピアノ曲解説7. 「14歳の憂鬱」の巻 スクリャービン/練習曲Op2-1

Scriabin / Etude Op2-114歳の憂鬱」の巻

スクリャービン作曲 / 練習曲作品2-1

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スクリャービンはラフマニノフとほとんど同年代のロシアの作曲家で、ラフマニノフのライバルともいえます。モスクワの音楽院で作曲の先生も、ピアノの先生も同じでした。

スクリャービンのピアノの腕前は、ロシア革命後アメリカにわたり数々の伝説的な演奏を残し演奏家としても超一流だったラフマニノフに学生時代コンクールで競り勝った程だったそうです。
 
ですから、ピアノの作品は数多く残しています。
※スクリャービンには数々の逸話もあるのですが又の機会に!
 
今回はそのスクリャービンの14歳の作品、練習曲を取り上げます。
 
全体に憂鬱で人生のはかなさ、悲しみまで感じ取れる様な曲です。メラコリックの典型と言えるでしょう。
この憂鬱、14歳とは思えません。少なくても私は、14歳の時、スクリャービンよりは未来に希望を持っていたし、脳天気に楽しく生きていた気がします。
※自分と比較しても意味ない?
 
曲はずっと和音の連続です。メロディーが和音のトップに乗っている感じ。和声的にも微妙な感情が感じられるような減七の響きが続きます。最後に始めのテーマが再現される瞬間は鬱積した感情が爆発した感じもします。
 
2010年5月25日記
3月 05

面白ピアノ曲解説6. 「晩年に勝利の行進を作曲する気概」の巻/ブラームス119-4

ブラームス作曲 /4 つの小品 ~ 作品 119-4  「晩年に勝利の行進を作曲する気概」の巻

 

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では、ここでまず、PTNAピアノ曲辞典より梅村さんの演奏で。

 

 

ブラームスは晩年、ピアノの為の小品を作曲しています。数多くの大作を残してきたブラームスとしてはずいぶん「軽い」作品群です。
曰く、晩年になって大作を作曲する気力がなくなってきた。
曰く、ピアノ曲の小品を軽い気持ちで作曲した。
等々。いろいろと説はあります。
※演奏する立場からは内容が濃く、非常に難しいです。でも個人的にはこの作品群は大好きです。

 

さて、今回取り上げた作品119-4はその作品群の一番最後です。
あくまでの私の想像ですが、ブラームスはこの曲で作曲の筆を折るつもりだったのではないでしょうか?
その最後にこれだけの曲を書くブラームスの気概に脱帽です。
※しかし、その後優秀なクラリネット奏者と会い、作曲意欲が湧き、非常に大きなスケールのクラリネットとピアノの為のソナタを作曲しています。
まだまだ、意欲が残っていた…ということでしょうか?
変ホ長調(Es Dur)で書かれています。まず、この調性はブラームス以前の作曲家達も手掛けてきた「英雄」系の調性です。
※英雄系というのは私の私見。例えば、ベートーヴェン・交響曲第三番英雄。ショパン英雄ポロネーズ(中間部)等々があります。格調高く、誇り高く、そして堂々としている調性だと思います。
出だしから、堂々とした和音の重なりから始まります。オーケストラのTutiiを聴いているかの様。
※Tutii:オーケストラで全員が合奏すること。
途中は、少し軽やかな感じです。ピチカートの様な左の伴奏は浮きたつ心を表しているのではないかと思います。
もう一度一番始めのテーマが現れますが、最後は、短調で少し悩みながら何かに追い立てられている様な感じであっけなく終わります。意味深ですね。
2010年5月24日記 / 2013年3月3日追記
3月 05

面白ピアノ曲解説5.【特別編】浅田真央ちゃんのフリーの曲について(2009年)

浅田真央ちゃんのフリープログラムに使われる
ラフマニノフ 鐘 は実はオリジナルはピアノソロ曲です。

Rachmaninoff  Prelude Op3-2

ではここで、ギレリスの全盛期の名演で。

http://www.youtube.com/watch?v=EtuMVBLEWJU

ラフマニノフは「鐘」の音にとても深い思い入れがあったようです。
一説によると小さい頃行った教会での鐘の音に原体験がありずっとそのイメージを持っていた。
これも一説ですが、クレムリン宮殿の鐘の音にインスピレーションを受けたという説もあります。

断定できませんが、私は「原体験」であるという説を支持します。

とにかく、鐘のイメージを元に「前奏曲作品3-2嬰ハ短調」を作曲しました。
出だしから鐘の音をイメージさせる重低音が聞こえてきます。
途中、メランコリックなメロディが聞こえてきて、その後激しいトレモロの音とともに
最初のテーマが非常に重い大きなスケールで再生されます。
楽譜がなんと4段になっています。弾くのも大変です。

真央ちゃんの曲のアレンジは、オーケストラサウンドでしたね。
明後日聞いてみてください。
出だしは原曲のイメージもありましたが、その後は、少しきれいにまとまっていたように思います。

みなさん、よかったら、原曲をお聞きになりませんか?
イメージは違いますが、よい曲です。

2010年2月24日記/2013年3月3日追記

3月 05

面白ピアノ曲解説4.妖精現る?/ドビュッシー・小さな羊飼い

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[面白ピアノ曲解説No.4]
ドビュッシー作曲 / 子供の領分より「小さな羊飼い」 
F. Debussy / Children’s Corner The Little Shepherd
「妖精現わる!」の巻

ある先生が教えてくれた、とっておきの話です。
この曲はストーリーが聞こえてきます。

少年が登場!!
彼は、夜、広~い草原で不思議な笛を吹きます。
すると、どこからともなく妖精が現れます。
そっと、軽やかに、かわいらしく…
するとホルン(角笛)の音が聞こえてきます。
「かえってこ~いーよ~~」と…
→演歌っぽかったかな?

角笛は妖精を呼び戻すサインです。
すると妖精はふっと消える…

すると、また少年が不思議な笛を…
でも、なかなか現れない。
また、吹く。
現れた!!
最後は妖精と少年が会話を…
そして、また、ふっと妖精が消えてしまってエンディング。

いかがですか?良かったら聞いてみてください。

yahooブログKazのpianoの話いろいろからの転載 /  2008年5月27日記

3月 05

面白ピアノ曲解説3.プーランク/シャンソンみたいな??

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[面白ピアノ曲解説No.3]
プーランク作曲 / 即興曲15番 
F. Poulenc / Improvisation No.15
Hommage a Edith Piaf 
「シャンソンみたいな?」の巻

シャンソン界の大御所エディット・ピアフって知ってますか?
あの、「愛の讃歌」
(あなたぁ~の燃える手でぇ~・私をだきしめて~ぇ)
の歌で有名な人です。(一応・女の人です。)
このピアフさんが亡くなった時
仲のよかったプーランクが
ピアフさんへのオマージュとして書いた曲です。

プーランク:日本ではあまり知られてないけど
おしゃれで優しい曲を沢山作曲したフランスの作曲家。

だから少し悲しい曲です。
出だしからもう、涙に濡れている…
少しむせび泣いているような感じです。
そのあと、落ち着いた少し寂しいメロディーが…
聞いた感じはシャンソンっぽいです。
だから初めて聞いても楽しめます。

でも、そこは、プーランク。
ちゃんと、ピアノならではの響きとか
音の広がりとかが用意されています。
イメージの世界が広がります。

途中、とっても明るくなります。
まるで、ピアフとの想い出に浸っているみたい。

そして、最後は泣き笑いみたいになります。
メジャーとマイナーの音が交錯します。
意味深な終わり方です。

yahooブログKazのpianoの話いろいろからの転載 /  2008年5月26日記

3月 04

面白ピアノ曲解説2.えっ?ショパンの子守歌?

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[面白ピアノ曲解説No.2]
ショパン作曲 / 子守歌 作品57
F.Chopin / Berceuse Op.57
「えっショパンにも子守歌が?」の巻

皆さん子守歌といえば誰の作品を思い浮かべますか?
ブラームスの作品が有名ですよね?
実はショパンも作曲してます。
ショパンの作品の中で、超メジャーではないけど、
素敵な曲です。

まず、
左手の規則的な伴奏がまるで、ゆりかごのように始まります。

そして、さり気なくふっとメロディーが聞こえてきます。
このメロディーが色々な形へと少しずつ変化します。
気がつくと、右手の動きがまるで爽やかな風の様…

実はこのメロディーは始めのメロディのバリエーションなんです。
でも、そんなことはあまり感じられない。
そして、よく聴いてみると左手は最後まで全く同じ形。
Ⅰ-Ⅴ-Ⅰの単純な繰り返し。
その単純な繰り返しがいつの間にか私たちを夢の世界へと
誘います。

この曲を聴きながら眠りにつけると最高ですね。
まさに大人の為の子守歌です。

yahooブログKazのpianoの話いろいろからの転載 /  2008年5月26日記

3月 04

面白ピアノ曲解説1.スペイン版ピアノの詩人モンポウ/庭の乙女

[ 面白ピアノ曲解説No.1 ]

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スペイン版ピアノの詩人モンポウ/庭の乙女
Federic Mompou / Scenes d’Enfants~Jeunes filles au jardin 

これから、
「あまり有名じゃないけど、聴いてみるととっても素敵な曲」
についてアップさせていただきます。

今回はモンポウです。
スペインの作曲家ですが、彼の作品は和音が綺麗です。
ピュアーで飾らない彼の人柄が偲ばれる作品が多いです。
ショパンは、ピアノの詩人といわれていますが、
モンポウは「スペイン版ピアノの詩人」だと思います。

彼の代表作といえる
「子供の情景」より庭の乙女
をお勧めします。

まず、不思議な響きが聞こえてきます。
これから秘密のお話が始まるという感じ。
そして、ふっと音が止まり、静寂…

その静寂の中から次の
4度の音程の不思議なメロディが生まれてくる。
専門的には+6の和音を使っているのですが、
この和音の響きがなんとも新鮮で美しいです。
響きの中に私は、スペインの夏を感じます。
でも、日本ほど暑くない!!。

ずっと聞こえてくる左手のゆったりした音の流れは
爽やかな風のイメージ。
この音の流れはずっと続きます。

そして最後は出だしと同じ不思議な響き…

こんな感じの曲です。

癒される一曲です。
私は、疲れた時に聴きます。よかったら…

[DISCOGRAPHY]
熊本マリさん…モンポウを積極的に演奏している方です。
熊本さんのベストアルバムに収録されています。
キラキラした音が印象的です。

Mompou…作曲家自身による全集版「Mompou plays Mompou」
というアルバムがあります。
彼の人柄どおりの丁寧で響の美しさが際立つ演奏です。

yahooブログKazのpianoの話いろいろからの転載 /  2008年3月13日記