面白ピアノ曲解説6. 「晩年に勝利の行進を作曲する気概」の巻/ブラームス119-4

ブラームス作曲 /4 つの小品 ~ 作品 119-4  「晩年に勝利の行進を作曲する気概」の巻

 

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では、ここでまず、PTNAピアノ曲辞典より梅村さんの演奏で。

 

 

ブラームスは晩年、ピアノの為の小品を作曲しています。数多くの大作を残してきたブラームスとしてはずいぶん「軽い」作品群です。
曰く、晩年になって大作を作曲する気力がなくなってきた。
曰く、ピアノ曲の小品を軽い気持ちで作曲した。
等々。いろいろと説はあります。
※演奏する立場からは内容が濃く、非常に難しいです。でも個人的にはこの作品群は大好きです。

 

さて、今回取り上げた作品119-4はその作品群の一番最後です。
あくまでの私の想像ですが、ブラームスはこの曲で作曲の筆を折るつもりだったのではないでしょうか?
その最後にこれだけの曲を書くブラームスの気概に脱帽です。
※しかし、その後優秀なクラリネット奏者と会い、作曲意欲が湧き、非常に大きなスケールのクラリネットとピアノの為のソナタを作曲しています。
まだまだ、意欲が残っていた…ということでしょうか?
変ホ長調(Es Dur)で書かれています。まず、この調性はブラームス以前の作曲家達も手掛けてきた「英雄」系の調性です。
※英雄系というのは私の私見。例えば、ベートーヴェン・交響曲第三番英雄。ショパン英雄ポロネーズ(中間部)等々があります。格調高く、誇り高く、そして堂々としている調性だと思います。
出だしから、堂々とした和音の重なりから始まります。オーケストラのTutiiを聴いているかの様。
※Tutii:オーケストラで全員が合奏すること。
途中は、少し軽やかな感じです。ピチカートの様な左の伴奏は浮きたつ心を表しているのではないかと思います。
もう一度一番始めのテーマが現れますが、最後は、短調で少し悩みながら何かに追い立てられている様な感じであっけなく終わります。意味深ですね。
2010年5月24日記 / 2013年3月3日追記

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